月号 1998/07/01
コード 2999
タイトル *原料動向① 副作用なく体調・体力が回復 改善自覚型素材に集まる市場の注目
現在、健食市場で伸びているのは、イチョウ葉、ウコン、ノコギリヤシ、ブルーベリーなどパワー
ハーブ類、そして、椎茸菌糸体、アガリクス、マイタケなど茸類と限られた素材となっている。
それぞれ、イチョウ葉は循環器系疾患対応、ウコン
は肝臓疾患対応、ノコギリヤシは前立腺肥大対応、ブルーベリーは眼疾患対応、茸類は癌・肝炎
等免疫対応……など、摂取目的が明確でしかも改善が自覚できるものだ。 改善自
覚は、気分、体調だけでなく、各種健康管理数値の維持・改善や医師の
管理のもとでの医薬品服用回数減少あるいは不用など具体的なかたちでみられることから、継続
して摂取する人が増えている。 既に疾患を持っている人または前疾患状態の人にとって、
医薬品の副作用に伴う体調不良は避けたいと思っており、副作用が軽減さ
れることにより食欲や軽運動意欲が戻り、さらに体力がつく結果となっているようだ。
ただ、課題となっているのは価格である。健康保険対象でなく、年間を通じての摂取のため
利用者の負担が重くなるからだ。 引き続きメーカーの努力
が求められる他、継続利用者向けの製品開発・価格設定も検討が必要である。 新たに、中高
年女性向け関節炎対応のグルコサミン(カニ甲殻由来等)も登場し、改善自覚型素材は改善自覚
経験者により着実に定着していくことが見込まれる。
月号 1998/07/02
コード 3000
タイトル *原料動向② 目的明確な積極的予防行動として 自己防衛型素材が世紀末市場の中心
に
不足しがちな栄養素等の補給による健康維持目的、または将来予想される疾病の予防目的な
どで健康食品を利用する人の数は今後もますます増えていくとみられる。 しかし、
ある意味で比較的軽い動機・目的での利用者は、低価格、少容量、明
らか食品へと向かうため、初めから製品開発・供給・リニュアル等態勢を整えて取り組むメーカー
にしか対応できなくなる市場ともいえる。 完成に近づいたこの市場とは別に、世
紀末を迎え社会不安が蔓延する中、新たに、補給等での予防ではな
く、より積極的に「自己防衛」目的の利用者を対象とした市場ができつつある。 象徴的な例は昨
年のO-157対応として取り上げられたビフィズス菌等腸内環境改善素材やカテキン・梅・香草(
ペパーミント等)など抗菌素材である。 医療・医薬品で未整備分
野、対応が充分できない状況に健食素材が探された。 また、新型インフルエンザ、狂牛病など
でも探された。 誰も頼れず、自らを守るという意味で、食品、食事で積極的に「防
衛」できる虫歯、骨粗鬆症、貧血、肥満、各種成人病……につい
ても、一人一人が方法を模索し実行する傾向があらわれた結果ともいえる。 死亡原因一位
の癌にどう対応していくか、付き合い方までが模索され始めた。 総合的に考えて、ここ数年は「
自己防衛型素材」市場が中心になっていくとみられる。
2017年7月7日 6/61 ページ
月号 1998/07/03
コード 3001
タイトル *原料動向③ 環境ホルモン対応型素材 慎重で責任ある対応必要 健康被害リスク軽減素材
確認に向け研究始まる
「自己防衛」の最たる分野として、今後、大きな社会問題として取り上げられていくものがダイオ
キシン等環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)とリスク軽減素材である。 健康被害を
もたらす環境ホルモンの対策については、最近ようやく行政が実態
把握を目指して、どのように進めたらよいのか検討を始めたところ。 リスク軽減素材につ
いては、一部研究者により、体外排出機能のある食物繊維や緑黄色野菜、また、脂溶性ビタミン
、ポリフェノール、微量ミネラル等が指摘されている。
まだ、追試験、臨床試験など研究の深まり、広がりはみられないが、身近で切迫した問題として
リスク軽減は直ちに求められることから、急速に研究は進められるとみられる。 健食素材
の中でリスク軽減に関わるものが多く、これまでの食経験実績を踏ま
え、新たに、リスク軽減データを得ようとする動きが出始めている。 環境ホルモンといわ
れる物質は数多く有り、廃棄物処理場周辺問題に注目が集まってはいるが、日常食生活で食品
や容器等食環境で摂取する環境ホルモンが体内取り込みの約八割との指
摘もあり、問題解決には今後数十年かかることになるのは間違いない。 いたずらに社会
不安をおこさず、食品、食生活で健康被害のリスク軽減が実現できるよう、関係者の慎重な対応
と努力が望まれる。 健食市場の二十一世紀の柱となる重い課題となる。
月号 1998/07/04
コード 3002
タイトル *加工動向① 企業間に格差が出始める傾向 得意分野で信頼度の高い提案必要
受託加工メーカーの伸長に格差が出始めている。 様々なルートでサプリメントを始め各種定番
の健康食品をPB化する動きに対応してきた流れが、ここにきて、伸び悩みにより、整理、見直し
ユーザーの意向に依存する割合が強い受託加工メーカーが、深刻な状況に陥っている。
着実な伸びを示しているところは、独自素材を手配し、市場の動きを適切に把握しなが
ら製品開発を提案する態勢を整えている。 ユーザーの幅、店販ルー
トから通販、訪販まで、それぞれに売上を分散化し冷静に動きをみている。 ユーザーの要望
を一方的に受け入れ、不得意の分野の製品開発をする企業は少なくなってきた。 今後各
企業は、得意分野で信頼度の高い提案をすることが求められる。
食品による健康改善データなど、情報収集、分析、提供も重要な要素となる。 ユーザーの製
品開発部として、ポリシーを持って対応することが重要だ。 新たなユーザーの開拓としては
、ダイエットなど女性の「美」にウェイトを置いている企業は、訪販など
無店舗ルート化粧品メーカーへの再アプローチを、生理機能発揮タイプ製品にウェイトを置いてい
る企業は、すでに服用者を持っている医薬品メーカーへの、バックデータを整えた上でのアプロ
ーチが考えられる。 「勝ち組」になるべく、最大の努力が望まれる。
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